時制

日本語は、物事の順序を表すのに文法というより、文章に使われている語彙やその場の雰囲気に頼っており、どちらかと言えば、聞き手の責任が大きい言語です。一方で、英語は、話し手の責任が大きく、物事の順序を表すのにいちいち時制を変化させなければいけません。こうしたことから、僕たちが時制のガバガバな英文を作りだしてしまうのも無理ありません。しかしながらこの時制、困ったことにインド・ヨーロッパ語族の言語を学ぶには避けては通れません。今回は、時間軸上のどこでどのような時制を使えば良いのか説明したいと思います。

 

以下が大体のイメージです。

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これだけではわかりづらいので、くだらない文章を用意し、各項番ごとに変化させていきました。

 

①I sleep in the park.

(公園で寝ている。※いつも)

②I will sleep in the park.

(公園で寝るだろう。※未来)

③I slept in the park.

(公園で寝た。※いつもかどうかは不明)

④I am sleeping in the park.

(公園で寝ている。※短い期間、例えば1時間等)

⑤I was sleeping in the park.

(公園で寝ていた。※短い期間、例えば1時間等)

⑥I have slept in the park since I was a boy.

(子供の時から公園で寝てきた。※昔からずっと今まで)

⑦In a month, I will have slept in the park for 20 years.

(あと一か月で、20年間公園で寝てきたことになる。※昔からずっと今まで、そして未来も)

⑧When I fell asleep in the park after missing the last train, my wallet had been stolen.

(終電を逃して公園で寝た時には、財布は盗まれていた。※昔よりさらに前の時点で)

⑨I had been sleeping in the park for 2 hours when he came to wake me up.

(彼が起こしに来た時には、公園で2時間寝ていた。※昔よりさらに前の期間で)

 

なかなか話している中では難しいですが、書く時には時間軸のどこで物事が起きているのかをイメージすれば、時制の誤りは少なくなります。また、時制には以下の特徴があると思います。

 

  • 主節とthat節のタイミングが同じ場合、基本的にthat節は主節の時制を引き継ぎます。ただし、一般的な事柄や人の性質等をいう場合、that節を現在形とする場合があります。

×He said that a taxi will come soon enough.
○He said that a taxi would come soon enough.
○He said that I am/was a procrastinator. (※一般的な事柄や人の性質等)

  • 状態動詞(know、have、believe、like、live、belong等)は基本的に進行形を使いません。ただし、文法に引きずられる場合はこの限りではありません。

×I am knowing that he is a lier.

○I know that he is a lier.

○Knowing that he is a lier, I don't believe him. (※文法[分詞構文]に引きずられる)

  • 進行形は、完了形(一時点を指す場合を除く)より短いスパンで継続していることを示します。上記の例だと、進行形は1時間、完了形は昔からずっとといった感じです。
  • 過去完了形は過去との組み合わせ、または前に過去の文がある場合でしか使いません。例えば、過去完了形と現在形をひとつの文中に使うことはほとんどありません。
  • 小説等で、過去の出来事を全て現在形で書き、臨場感を出すことがあります。

 

少しずつ時制と仲良くなって頂ければ幸いです。

 

Bookkeeping (簿記) 1

今回は、"Bookkeeping (簿記)"のさわりを説明したいと思います。

 

そもそも"Bookkeeping (簿記)"とは何かというと、これまで見てきた"Financial Statements (財務諸表)"を作るために、日々の取引を記録していく作業を指します。この取引記録は、"journal entry (仕訳)"と呼ばれます。

 

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早速ですが、"Bookkeeping (簿記)"により作成した"journal entry (仕訳)"の例を見てみましょう。

 

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"Bookkeeping (簿記)"の初学者がまずつまずくのは、「"Debit/Dr. (借方)"と"Credit/Cr. (貸方)"ってナニ?」、「どうして同じ金額が入っているの?」等でしょう。参考書ではこうしたコアの部分が説明されていなかったりするので、もっともな疑問です。乱暴な言い方になりますが、資産や負債、費用や収入の出どころをひもづけるために、左右両方に同じ金額を入れています。この方法は、"Double-entry-bookkeeping (複式簿記)"と言い、世界中で採用されています。

 

一方にしか入力しなければ、どんな問題が起きるでしょうか? 例えば、記録上、"Cash (現預金) 100"とのみ書かれていたとします。その現金が"Sales (売上高)"からきたものか、"Borrowings (借入)"からきたものか、出どころはわかりません。マネーロンダリング組織ならまだしも、手元の現金が返済必要か不要かわからないようでは、とても会社を運営できないですね。 

 

 "Double-entry-bookkeeping (複式簿記)"では、どの項目を左右どちらに書くか、デフォルト値が設定されています。各項目が減る場合は、増える場合の逆なので、特に意識する必要はありません。

 

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最後に、"journal entry (仕訳)"がどのように"Financial Statements (財務諸表)"に影響するか見てみましょう。"journal entry (仕訳)"がいくら複雑になっても、仕組みは全く同じなので、シンプルに考えましょう。

 

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Income Statement/Profit&Loss (損益計算書)

今回は財務諸表の1つである、"Income Statement/Profit&Loss (損益計算書)"を見ていきたいと思います。下図をご覧ください。

 

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こちらは、"Balance Sheet (貸借対照表)"に比べ、わかりやすいのではないでしょうか。プラス項目の"revenue (収益)"から、マイナス項目の"expense (費用)"を差し引いて、"profit (利益)"を計算しているだけです。"Income Statement (損益計算書)"の特徴をざっくりまとめてみます。

 

  • "revenue (収益)" - "expense (費用)" = "profit (利益)"
  • "performance for a certain period of time (一定期間の業績)"
  • "Net income will be transferred to Equity (Retained Earnings) when closing accounts. Therefore it will be 0 at each account end and not be carried over to the next term." (当期純利益は、期末日に、貸借対照表の資本[繰越利益剰余金]へ振り替えられます。従って、当期純利益は期末日にゼロとなり、翌期には繰り越されません。)

 

最後の項目は、"Income Statement (損益計算書)"が、"Balance Sheet (貸借対照表)"と繋がっていることを表しています。初学者のよくつまずくポイントですが、全体的なイメージから入ればそんなに難しくありません。

 

例えば、そこらへんで捕まえたカエルを、メルカリで手渡し100円で売ったとします。カエルの仕入値は0円なので、100円の現金が手に入りました。"Asset (資産)"と"Net Income (当期純利益)"がそれぞれ100円です。"Net Income (当期純利益)"は"Equity (資本[繰越利益剰余金])"に振り替えられるのでしたね。"Net Income (当期純利益)"はゼロで、"Equity (資本[繰越利益剰余金])"が100円になります。"Asset (資産)"と"Equity (資本[繰越利益剰余金])"が両方とも100円で、"balance (均衡)"していませんか? この仕組みは下図のとおりです。

 

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どうして"Net Income (当期純利益)"が"Equity (資本[繰越利益剰余金])"に振り替えられるのか疑問に思われるかもしれません。"Equity (資本)"の特徴には、「返済義務なし」があったことを覚えていますか。営業活動で得た"profit (利益)"は、誰かに返す必要もないため、"Equity (資本[繰越利益剰余金])"に振り替えられるのです。

 

※次回扱う"book keeping (簿記)"で、もう少しすっきりすると思います。"Balance Sheet (貸借対照表)"と"Income Statement (損益計算書)"が繋がっているということだけなんとなくわかれば、ここでは十分です。

英文メール

英文メールは得意ですか? 表現によっては信頼を勝ち得たり、時には威圧的に聞こえたり、たかがメールですが、その効果はあなどれません。今回は、英文メールの形式や使える表現をみていきたいと思います。

 

①形式を身につける

Dear Mr. Frog Man (親愛なるフロッグマンさん[女性の場合は"Ms."]),

 

Thank you very much for your cooperation all the time. I hope everything is going well with you. (いつも大変お世話になっております。[いよいよ冬めいてきましたが]いかがお過ごしでしょうか。)

 

[中略]

 

Your advice by November 17 will be highly appreciated. (11月17日までにご回答頂けると幸いです。)

 

Sincerely yours (敬意をこめて),
Keisuke Tamori (自分の名前)

Manager (肩書), Frog Breeding Department (部署名)

Frog Co. Ltd. (会社名)

 

  • 宛先
  1. 関係者各位:"To whom it may concern,"
  2. 名前及び性別もわからない場合:"Dear Sir/Madam,"
  3. 名前はわかるが性別がわからない場合:"Dear Frog Man san,"

 ※"san (~さん)"はいろいろな地域で使われるようになってきています。

 

  • "I hope everything is going well with you."

相手を気遣っているように(見せる)表現です。ただし、毎回同じでは手抜きと思われてしまう可能性があるため、"Is everything going well with you?"や、"I hope you are doing well."等、少しづつ表現を変えてみるのが効果的です。もし可能であれば、相手に関係しそうな話題を一行いれてみて、こちらが相手に関心を示していることを暗示するのも良いかもしれません。

 

  • "appreciate"

学校英語では、"appreciate"はとても使いにくい訳語が当てられています(正当に評価する?!)。"After the financial crisis hit the western world hard, JPY was appreciated against EUR. (西洋諸国が経済危機の大打撃を受け、円高傾向となった。)"のような使い方も見られますが、"appreciate"にはもっと気さくな「どうぞよろしくお願い致します」程度のニュアンスもあります。

従って、"I would (未来の"will"仮定法) appreciate it if you would (意志の"will"仮定法) reply back by November 17. (11月17日までにご回答頂ければ幸いです。)"や、"It would be appreciated if you would prepare the document at your earliest convenience. (すみませんが、お時間のある時、なるべく早めにその資料を準備して頂けると幸いです。)"といった感じに使えます。

※仮定法は丁寧な表現をする際に良く使います。

 

②内容を充実させる

Dear Mr. Frog Man (親愛なるフロッグマンさん[女性の場合は"Ms."]),

 

Thank you very much for your cooperation all the time. I hope everything is going well with you. (いつも大変お世話になっております。[いよいよ冬めいてきましたが]いかがお過ごしでしょうか。)

 

With winter around the corner, our frogs dig deep in leaf mold (腐葉土) on which they are raised and have less appetite. Some have not had anything for a month. Thinking that they started to hibernate (冬眠する), we bathed them in hot water to stimulate them, only to fail. Last time we were in the same situation, most of those hibernated did not wake up even as spring came. We are very worried and would like you to give us some advice on the followings:

 

1. What is the appropriate temperature to keep frogs awake?

2. Is there any environment suitable to raise frogs?

 

Your advice by November 17 will be highly appreciated. (11月17日までにご回答頂けると幸いです。)

 

Sincerely yours (敬意をこめて),
Keisuke Tamori (自分の名前)

Manager (肩書), Frog Breeding Department (部署名)

Frog Co. Ltd. (会社名)

 

  • 項番

例えば相手に何かを依頼する場合、項番をつけて質問内容を明確にすることが重要です。これには、回答がしやすいというメリットもあります。特に、お互いがネイティブでないやりとりでは、何が質問か明確にすることが、意図した回答を得るためには不可欠です。

 

  • 主語

初心者が意外と悩むのは主語です。しかしながら、ビジネスメールで複雑な無生物主語(長い動名詞句や疑問詞句等)を使う必要はなく、"we (弊社)"、"I (担当者)"、"you (貴社/貴社担当者)"で十分です。個人名を出す場合は、社内外にかかわらず"Mr./Ms./san"をつけることに注意して下さい。

 

③一般的な使える表現を覚える

  • 教えてもらう
  1. Could/would you please tell me the followings? (以下について教えて頂けませんか。)
  2. Could/would you please tell me the reason(s) behind the increase in sales? (売上の増加要因を教えて頂けませんか。)

 

  • 形式的な挨拶
  1. Thank you very much for your cooperation all the time. (いつも大変お世話になっております。)
  2. Your cooperation is highly appreciated. (ありがとうございます。)

 

  • すみませんが
  1. We would rather not to [動詞の省略] this time. (すみませんが、今回はご遠慮/ご辞退させて頂きます。)
  2. We are very sorry to tell you that the goods are not readily available. (すみませんが、当商品は品切れです。)
  3. I am afraid that the file you gave me earlier cannot be opend in my environment. (すみませんが、先ほど頂戴したファイルはこちらの環境で開かないようです。)

 

  • スケジュール
  1. The report I asked you to prepare is overdued. Could you please tell me when you can prepare it? (ご依頼差し上げたレポートの期限が過ぎています。進捗状況を教えて頂けませんか。)
  2. The system is scheduled to be released in December. (そのシステムは12月にリリース予定です。)
  3. The project is behind the schedule. (プロジェクトの進捗が芳しくありません。)

 

  • 不正
  1. You understand that sales cannot be this low. (売上高がこんなに低いわけないだろう?)
  2. Understood. (承知致しました。)
  3. As advised by the vice president, we made some adjustment to sales. (私たちは、副社長のご助言に従い、売上に少し調整を入れたまでであります。)
  4. To the best of my knowledge, I did not ask them to do so. (わたくしの知りうる限りでは、社員にそうするようお願いした覚えはございません。)

 

  • その他
  1. Should you have any questions, please feel free to contact us. (ご不明点ありましたら、ご連絡下さい。)
  2. afore-mentioned (上述した)
  3. Please find attached the file. (添付資料をご査収下さい。) 

 

 

Balance Sheet (貸借対照表)

会社の財務分析をする際には"Financial Statements (財務諸表)"を用います。"Financial Statements (財務諸表)"の代表的なものに、"Balance Sheet (貸借対照表)"、"Income Statement/Profit & Loss (損益計算書)"、"Cash Flow Statement (キャッシュフロー計算書)"の3つがあります。

 

これら3つの構成は、国内外問わずだいたい同じです。また、上場会社の"Annual Report (有価証券報告書)"は誰でも入手可能です。したがって、"Financial Statements (財務諸表)"が読めるだけで、個人/会社にかかわらず、より適切な投資判断が下せるようになります。

 

今回は、"Balance Sheet (貸借対照表)"の構成を見ていきたいと思います。下図をご覧下さい。

 

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まずは単語レベルでアプローチしてみます。"balance"には「残高」のニュアンスがあることから、それぞれの項目の"point of time (ある一時点)"の残高を示しています。また、"balace"には「均衡」のニュアンスもあります。"Asset (資産)"の合計と、"Liability (負債)"および"Equity (資本)"の合計は確かに"balance (均衡)"していますね。

 

このような一般的な説明をされても、「で、"Balance Sheet (貸借照表)"って何なの?」と思うのが普通です。かなり乱暴な言い方になりますが、"Balance Sheet (貸借照表)"は、「"Asset (資産)"が、返済義務のある"Liability (負債)"と返済義務のない"Equity (資本)"のどちらでまかなわれているか」を表すものです。だから"Asset (資産)"の合計と、"Liability (負債)"および"Equity (資本)"の合計は"balance (均衡)"しているのです。ここで、"Balance Sheet (貸借照表)"の特徴をざっくりまとめてみます。

 

  • "Asset (資産)"の合計と、"Liability (負債)"および"Equity (資本)"の合計は"balance (均衡)
  • "Liability (負債)"は"to be paid (返済義務あり)"
  • "Equity (資本)"は"not to be paid (返済義務なし)"
  • "point of time (ある一時点)"の残高
  • "current"は1年以内に"to be received, paid or settled (解消する)"、"high liquidity (流動性の高い)項目
  • "non-current"は1年以降に"to be received, paid or settled (解消する)"、"low liquidity (流動性の低い)項目

 

※"Liquidity (流動性)":"short-term solvency (短期的な支払い能力)"と関係が深く、特に"Asset (資産)"が"low-liquidity (流動性の低い)"だと、"short of cash (資金不足)"に陥り、最悪の場合、"insolvent (支払不能)"で"go bancrupt (倒産)"してしまう。

 

 

このブログについて

以前、海外子会社の連結業務にたずさわっていた時、会計用語を英語でどう言えば誤解なく伝わるのか悩みました。ますます海外とのやりとりが増えていく中、経理業務にたずさわる方々にとって、英文会計は避けて通れない道となってきたように思います。

一方で、会計用語を検索してみてもピンとくるものが見当たらない、もしくは情報が錯綜していて実際に何が使われているのかよくわからないのが現状です。例えば、「計上する」という単語を調べてみると、"add up"や"appropriate"等、現場ではまったくお目にかかれないものが沢山でてきます。知識の集約ができていないのは、憂うべきことです。

会計には会計の、活きた表現があります。「計上する」をとっても、"record"だけでなく、会計のシステム化にあわせ、"post"も一般的になっています。ぼくのノウハウが、皆さんの仕事もしくは生活を少しでも豊かにすることを願っております。